=寺野晴美が語る『音楽履歴書』=
■『作品が作れなくなってしまう!!』■
「外人だとスティービー・ワンダーや、キャロル・キング、リッキー・リー・ジョーンズ、U2、クーラ・シェイカー、フィヨナ・アップル・・・。あと踊れるものも好きだったりするので、アンダー・ワールドとかも好きですね。だから、この人の作品は全部いい!! という感じではなくて、広く浅く聞いているという感じで、もうジャンルとしては、ぐちゃぐちゃなんです。かっこいい音楽というのはたくさんあるし、それに良いCDというのは、作った人の考えとか、思いというものがいっぱいに詰まっているので、聞いていると、ヘビーになるというか・・・。そういう作品をいろいろと聞いてしまうと、自分の作品が作れなくなってしまう、というのもあるので・・・」
―キャロル・キングや、スティービー・ワンダーなどを知ったのは、いつごろ?
「20歳ぐらいのときかな。音楽関係のところでバイトをしている大学の先輩がいて、音楽に詳しかったんです。その人が、とりあえず、これは有名だし、良いから聞いてみたら、と教えてくれたんです。それで聞いてみたらよくって・・・。でも自分で音楽を作り始めるようになってからは、キャロル・キングって、ただ良いというのではなくて、すごく良いなと再確認したんです。ビヨークもそうなんです。あの声や、癖のある作品性が、初めは好きになれなかったんですよ。だけど自分が音楽を作るようになってから聞いてみると、すごいんですよ」
―キャロル・キングや、ビヨークの何がすごかったの?
「キャロル・キングはメロディですよね。誰にでもかけそうに思えるけど、書くことができないシンプルでいて色を持ったメロディ。たぶん自分の思い通りにやっているんだろうけど、単なる自己満足ではなくて、たくさんの人に良いといわせる力がある。それって、かっこいいと思うし、しかもそれを長いことやり続けているというのもすごい。ビヨークはもう、ああいう人は他にはいないじゃないですか。音もすごいし、あとルックスも好きなんですよ」
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■『良いものでなければ意味がない』■
―唯一無二というアーティストですよね。
「そう、代わりがいない人というのは、すごいなと思います」
―寺野晴美もそうなりたい、そうありたいと思っているの?
「そんな大きいことは、今はまだ考えていないんですけど・・・。ただ、今という時代は、ものすごくたくさんのCDが出ているわけですよね。そんな中で自分も一枚目を出したんですけど、意味のないもの、よくないものを作るのなら、出さないほうが良いとは思っているんです。音楽というか、歌を歌ったことがないという人は、いないと思うし、音楽って、どこにでもあるものだと思うんですよ。その中で、自分が作り手として音楽を出すということは、良いものでなければ意味がないと思うんです。それが代わりがいない存在! という思いにいたっているのか、といわれると、まだわからない、実感がない感じですよね。とにかく今は、良いものを作る。でも良いものってなんだろう?と思うと人それぞれだし・・・。だから自分が聞きたいと思うもの、自分にとって良いもの、自分が納得いくものというのが、一番ですね」
―そういう思いに至ったというのは、スタジオで働いていた経験というのは大きかった?
「大きかったと思います」
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■『稼ぐ女になると思っていた』■
―どうしてスタジオで働くようになったの?
「結構バイトを転々としていたんですよ。それまでは、お金がなくっちゃ、人生ちょっと!! と考えていたところがあって・・・。自分ではキャリア・ウーマンみたいになって、稼ぐ女になると思っていたんです。ところが大学に行き始めたころから、無気力になっちゃって、23歳ぐらいになったころに、どうしよう? と思い始め、自分の好きなことじゃないと、長続きしないんだなと思ったんです。それまでは自分の夢とかって、あまり考えていなかったんだけど、自分の好きなことは? それでいて、ちゃんとできることは? といろいろと考えていくうちに、歌だったらできるなと思ったんですよ。何でいきなり、と思われるかもしれないんですが、できる!! と思ったんですよね」
―それって、自分が飽きることなくできる、という意味で・・・?
「飽きないでできるし、歌だったらプロになれるだろうと思ったのね。それで、音楽の実力をつけるというところで、ヴォイス・トレーニングに通い始め、プロへのチャンスをつかむというところで、音楽の現場に近いところを、と思っていたら、スタジオ・エンジニアのマネージャー募集というのがあって、それに受かって働き始めたんです。ここでの経験というのは音楽制作においての具体的な勉強になりました」
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