=イズミカワソラ
最新アルバム『はがねマシーン』を語る=
―今回のアルバムでは、どんなことをやりたいと思ったの?
「『浮かれビート地下1階』を作った時点では、インディーズというところにこだわっていたんです。というのも私自身が邦楽のインディーズが好きで、あそこの場所(CDショップのインディーズ・コーナー)に私のジャケットがあって、インディーズ好きな人が聞いてくれたらいいな、というイメージがあったからなんです」
―昔からインディーズに興味を持っていたの?
「ここ2年ぐらいかな。だからまだ日は浅いんですけど・・・。とにかくメジャー・シーンに自分が好きだなと思える人がいなくて・・・。でもインディーズには面白い人がいっぱいいたんですよ。それで、そういう人たちとライブをしたり、作品を作ったり、同じスタンスで音楽活動が出来たらいいな、と思っていたんです」
―具体的にインディーズというスタンスで、どんな人たちと、どんなことをやりたいと思っていたの?
「キップ・ソーンの人たちと以前お仕事をしたことがあったのですが・・・。サンプリングを使って、ピコピコいっているんだけど、面白いものを作る人たちと、クラブとかで活動したかったんです。打ち込みにこだわりつつ、それを楽しむ。そういうところにいきたかったんですよ」
―実際に前作はインディーズから、アルバムを発表したわけですよね。
「そうですね。だけど、いい意味でも悪い意味でも、メジャーなアプローチの活動をやらせてもらったんですよね。だから解決していかなくてはいけない課題が、目の前にたくさんあったんです」
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■私は何? 悩み事多き、この半年。■
―やらなくてはいけないことって、たとえば・・・?
「インストアー・ライブとかで、どうやってこのアルバムをアコースティックで演奏しようとか、そういうところから始まって、この半年の間はいろいろなことを考えたんです。結局は最初に抱いていた目的というか、イメージとは違う感じになってしまったのですが、それはそれでよかったのかなと思っています」
―いろいろと考えたとは、どんなことを考えたんですか。
「前作を出したころから、楽曲提供のお話をたくさんいただくようになって、その要望に対応した曲は、割合と器用にいろいろと書けてしまえるんです。ところがそれが自分にとってはネックになって、いろいろな曲は書けるけど、泉川ソラの音楽って何? 自分が書きたい曲は何? と悩んだ時期もあって・・・。ちょうどそのころに、今回のアルバム制作に入らなくてはならなくて、自分はどこに行くんだ、行きたいんだ!!という不安も募り、いろいろと悩んでしまったんですね」
―作曲家とシンガーソングライターというのは、似ているようで微妙な違いがありますよね。
「そうなんですよね。イズミカワ・ソラというものが、自分の中で確立されていれば、悩まなかったんでしょうけれど・・・」
―いろいろと悩んだ末に、イズミカワ・ソラはどういうものなのだ、という答えを出したの?
「ズバリ、このアルバムがその答えなんですけどね。これまでのすべてを集大成した、という形になっていったという・・・」
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■現れし陰の部分■
―今回のアルバムを聞いていくうちに、映画『ムーラン・ルージュ』を連想してしまったんですよ。そこでこれは、キャバレー・ポップだ!!と勝手にネーミングしてしまったんですけど。
「そのコピーはうれしいです。デビュー当時から、泉川ソラ=元気というイメージがあって、それがいやだったんです。だけどそれを完全否定するほど、自分の中で吹っ切れていない。だから、望まれているのなら、と元気な曲もアルバムに入れてしまっていたんです。あと詞に関しても、自分の恋愛体験しか書けないとか、体験談を詞にするということが、日本の音楽シーンでは、偉いとされる傾向があるじゃないですか。だけど私は私生活を暴露する詞というものに、すごい反発を持っていて、それよりも体験してないことでも、書ければいいじゃないと思っていたんです。ところがインストアー・ライブをしていく中で、そこにこだわらなくてもいいのかな、と思うようになった。だから今回のアルバムの詞は、これまでになく自分のことを書いているんですよね。それプラス、私の中にある陰の部分が出ている」
―陰の部分というと?
「昔から持っていたものなんです。というのも転校ばかりしていたので、なかなか人を信頼しないというところがあって・・・。それを隠そうとして、すごく明るくしていたり、実は世の中に対しても、すごくさめているんだけど、それを隠そうとしたり・・・。そういう陰の部分が出てきたというか、出してしまえという感じで、意外と反抗的なことばかり書いているんです」
―明るい元気な子に見えているけど、実は私、そうでもないのよ!!という・・・。
「そうなんです。私は長女で強い子だから泣かないと、周りからのイメージもあって、自分でもそうだと思っていたんですよ。だけど、そうでもない自分もいて・・・。ここ半年ぐらいは、そんな自分再認識をしていましたね。もちろん基本的には、楽天家は楽天家なんですけれどもね(笑)」
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■エレクトーンと80年代歌謡曲■
―なるほどね。さて今回のアルバムを聞いていると、サウンド的にはいろいろな要素を感じるんだよね。映画音楽というか、ハリウッド・エンタテイメントのゴージャス感というか・・・。たぶんその辺の感じが映画『ムーラン・ルージュ』を連想させたのだと思うのだけれど・・・。
「あまりそういうことは考えていなかったんですけど・・・」
―ということは、むしろSOLAちゃんの中にある音楽原点、バックグランド的なところと関係しているのかな?
「なんだろう。それは音楽の原点、最初の音楽というのが演奏だったからかもしれない。エレクトーンで名曲を弾いていたんです。だからビートルズも演奏で覚えて、後にこれはビートルズの曲だったんだ、と結びついていく。それからもうひとつが歌謡曲。トップ10や、ベスト10時代の歌謡曲が、ルーツになっているんじゃないかと思うんです。今回、アレンジにも参加したんですけど、出てくるフレーズのすべてが思いつきなんだけど、どこか懐かしい感じがするといわれるんですよ」
―なるほど、映画的な匂いを感じたのは、エレクトーンによるものなのかもしれない。エレクトーン演奏曲って、ミュージカル音楽の質感と似たところがありますよね。
「そうかもしれません。音色の使い方とかも似ていますし・・・。エレクトーンでポップスを覚えた反面、ピアノではクラシックをやっていて・・・。だから本当にいろいろな音楽の要素が混在しています」
―クラシックで好きだったのは?
「ショパンが好きでした」
―歌謡曲は?
「聖子ちゃん、キョンキョン、明菜ちゃんとか、あの辺です。中でもミーハー的に好きだったのはチェッカーズ。曲は聖子ちゃんかな。「未来の花嫁」「ボーイの季節」とか、あの当たりが大好きで、いい曲だなと思うんです。よく聞いていますよ、今でも」
―聖子ちゃんの作品は、ポップでドラマティックな要素が必ず入っている。それをSOLAちゃんは絢爛豪華なゴージャスではなくて、その反対のジャンクなゴージャス感で表現している感じがする。
「私の中のすべてを出してしまえ!!と思って、出してみたら、こうなったということなんです」
text by Mika Kawai
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